一歩目踏み出す居場所 - (上毛新聞オピニオン21)

 もし子どもが「学校に行きたくない」と言ったら、あなたはどうしますか?多少強引でも学校に行くように伝えるでしょうか。それともいったん休ませて様子を見るでしょうか。

 様子を見た後、子どもがそれでも学校に行かないときはどうしますか。そしてどんな気持ちになるでしょうか。

 きっと子どもの将来が不安になる人が多いはずです。でもよく考えてみてください。学校に行かなければ子どもは将来幸せになれないのでしょうか。そんなことはないはずです。大切なことはあなたの目の前にいる子どもに今何が必要なのかを考えること。そして学校に行くという選択が子どもの将来のために最善なのかをしっかりと考えることではないでしょうか。

 あなたが不安であることはわかります。でも子どもも同じくらい不安な気持ちになっていることを知ってください。私たちは2016年9月に前橋市で初めてのフリースクール「こらんだむ」を開校しました。現在県内各地から15人以上の学校に行っていない子どもが集っています。

 こらんだむも学校と同様に基礎学力獲得に向けた学習環境を整備しています。子どもの持つ可能性を伸ばすためのプログラミング教室や美術教室、子どもの自立を育むための就業体験プログラムも実施している教育機関です。

 学校に行かないという選択肢をとっても、子どもたちが将来自立できるようにしたいという思いがあります。

 一方でまず私たちが一番大切にしていることは、こらんだむが子どもたちにとって安心安全な居場所となることです。学校に行っていない子どもたちは現在の置かれた状況に悩み、苦しみ、疲弊しています。私なんか価値がないんじゃないかー。そんなふうに考える子どもがいます。

 まずはその心を回復させなくてはいけません。「ここにいても大丈夫」と安心を感じてもらうことが必要です。安心できる場所とは、子どもたちのありのままを受け止めてくれる人がいる場所です。現在、こらんだむは30人以上のボランティアの方がいます。不登校であることを否定する人は1人もいません。

 その環境にいることで、子どもたちの心は徐々に回復していきます。そして自ら1歩目を踏み出します。それは勉強することかもしれないし、人と話すことかもしれない、もしくは外出することかもしれません。ありのままの自分が許される、そんな安心を感じることができるからこそチャレンジができると私は信じています。

 不登校になったことが無駄ではなく、子どもたちにとって価値ある時間そして力につながるように、これからも私たちは安心安全な居場所を運営していきます。

 待ってるよ、大丈夫。居場所は学校だけじゃない。