だけど、君に会いたい - (上毛新聞オピニオン21)

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、救世主のごとくオンラインサービスが注目を浴びています。自宅にいながら動画を視聴して学習することが可能になり、ビデオ通話で仕事に必要な会議をすることもできます。私たちも二つのオンラインサービス事業を実施しています。

 一つ目は教員や教員経験者が撮影・編集した学習動画をオンライン上で無料配信するノートムービーズ事業です。2016年1月より動画を順次公開し、動画数104、視聴回数4万9235回(4月20日時点)となっています。

 全ての子どもたちが自分で学びたいときに学ぶことができ、基礎学力を獲得できる学びのインフラをオンライン上に作るとともに、社会全体で子どもを育てていく「協育」の考え方を普及させていきたいという思いがあります。

 二つ目はビデオ通話アプリを使用し、不登校の子どもたちの居場所をオンライン上で提供するフリースクール事業です。もともと通所型のフリースクールを運営していましたが、新型コロナウイルスの対応策として3月より試験的にオンライン形態を始め、緊急事態宣言を受け、4月より本格的に実施しています。

 フリースクールを一時的に休校することも検討しましたが、利用する不登校の子どもたちの中には、フリースクールが社会とつながる唯一の居場所である子も多く、オンラインという形で継続することにしました。運営側としてはオンライン導入について試行錯誤しながらも、子どもやボランティアの方々が10人以上参加する状態をつくることができました。

 「新型コロナウイルスの影響で始めた取り組みではありますが、そもそも多くの不登校の子どもたちにとって、外出することに対するハードルが高いということも事実です。そのため、このオンラインフリースクールという取り組みは、潜在的にまだまだ多く存在する不登校で悩む子どもや保護者にリーチできる可能性を感じています。

 このように書いていくと、オンラインは素晴らしい‼と私自身も感じます。ただオンラインはあくまで手段であることを忘れてはいけないと思っています。学習動画の配信事業で言えば、子ども自身に自主性があり学習意欲を持っていれば、学習動画を有効活用できるはずです。しかし、多くの子どもたちにとってはそれだけでは不十分で、子どもに寄り添い、学びを手助けしてくれる存在、「フォロワー」が必要になってくるはずです。

 オンライン上で居場所をつくることについても、前提として対面での関係で素晴らしいつながりがあったからこそ、運営することができたと思っています。ただオンラインだから良いわけじゃない。そこにあなたがいるから素晴らしい。早くみんなに会いたい。